女子アマチュアの試合を取材したのは今回が初めてだったが、今回、「アジア太平洋女子アマチュア選手権」の取材を通して、今どきの若手女子アマたちがとても頼もしく見え、将来が楽しみに思えた。
それは、彼女たちの友人は、日本人選手だけではなかったからだ。優勝した安田祐香は、ホールアウト後、ナショナルチームの吉田優利、西村優菜らに祝福されたが、その後、安田に一言お祝いの言葉をかけようと待ち構えていた韓国人選手がおり、クラブハウスまでの道のりを彼女と言葉を交わしながら帰っていった。従来の日本人選手にはない、海外選手との交流スタイルがそこにはあるなと感じた。日本人とか韓国人などと国籍など関係なく、同じ「アジア」の友人として、またよきライバルとして付き合っているのである。
また、選手たちが宿泊するホテルまでの車中に私もたまたま乗り合わせたのだが、二人の日本人選手が韓国人選手と日本語、英語、韓国語を交えながら、冗談を言い合ったり、女子の会話を楽しんでいたのには驚いた。英語や韓国語もとても流暢で、時々言葉の意味を解さない時は英語でその意味を確認していたが、こうした交流も、昔からずっとジュニアの試合会場で顔を合わせ続けているからこそ生まれたものであり、国籍を超えた友情だと思った。中国や韓国、シンガポール、タイなど、日本よりも子供の頃から比較的英語を話すことが必要とされるアジアの国の感覚に、今の日本のアマチュアたちも近づいている。
現在、すでにプロ入りして活躍している選手たちにも、学生時代に海外遠征を積んでいる選手は大勢いるが、その試合会場で一緒に回った海外選手たちと長年友情を育み、食事をともにする、というような付き合い方までする人は非常に少ないと思う。しかし、今のようにジュニアのゴルフが盛んになり、いろいろな場所で試合が開かれ、なんども顔を合わせているうちに、ボーダーレスな友情が生まれ、お互いにリスペクトし合う仲になっている。これは、将来世界のどんな場所でも自分の居心地のいい場所を見つけ、実力を発揮しやすい環境を作るという意味では非常に大きなことである。
日本人だけで集まったり、練習ラウンドする時代はいずれ過去のものとなるかもしれない。ボーダーレスに海外選手たちと会話を楽しみ、互いに励まし合い、祝福し合う姿が当たり前になる時代も、そう遠くはないような気がする。
(2024年10月23-25日開催) ISPS 中山徹記念ゴルフトーナメント