ISPSとミスズによる、東京ヴェルディ支援について
ISPSと株式会社ミスズは、2年間にわたり「東京ヴェルディ」をスポンサードして参りました。
しかしながら、大変残念なことに、ISPSとミスズは、今年限りでヴェルディのスポンサーを降りざるを得なくなりました。
決して、ヴェルディが嫌になった訳ではありません。以下、メインスポンサーとして、事情をサポーターの皆様に説明しなければ、ヴェルディを見捨てたかのような、残念な誤解を抱かせてしまいます。そのため、以下に事情を記させて頂く次第です。
ヴェルディ支援のキッカケと経緯
ISPSとミスズが、ヴェルディを支援してきた経緯は、これまで何度も公に申し上げて来た通りです。数年来、ヴェルディから何度も、メインスポンサー契約の打診を頂いておりました。しかし、メインスポンサーともなれば、中途半端なことは出来ないため、お断りして来たのです。
しかし、東京ヴェルディの羽生英之社長と葉梨忠男様から、何度も熱意あふれるお声掛けがあり、そこまで仰るならと、2017シーズンからメインスポンサーを引き受けたのです。その背景には、2014年より2016年まで、南アフリカプレミアリーグのムプマランガ・ブラック・エイシズFC(現ケープタウン・シティFC)のメインスポンサーをしてたこと。また、2016年12月より、ニュージーランドのサッカーリーグのメインスポンサーになり、サッカー支援を始めたことで、サッカーの縁を感じたからです。
それまで、ヴェルディのメインスポンサーは、長続きしない印象でした。特にここ10年は、胸スポンサーが付かなかったり、付いても丸2年続いた企業がなかったほどです。しかし、我々は一旦引き受けたからには、最低3年以上は続けるのが責任だと考えました。また、出来ればずっと継続支援し、選手もスタッフも安心してチーム作りできる環境を育みたいと、決めておりました。
そこで、ISPSとミスズは、両法人で2年合わせて4億2千万円の支援を行なって参りました。その中には、有名選手の移籍金援助も含まれます。
ISPS会長でミスズ社長の半田晴久も、何度も試合に足を運び、サポーターの皆様と共にメガホンを振り、バンザイし、声を涸らして応援しました。その姿に、サポーターからISPSコールを頂くほど、信頼関係を築いて参りました。
また、年始の「新体制発表会見」を、毎年ISPSが支援して京王プラザホテルで大々的に行なったり、ミスズの地元である西荻窪や吉祥寺でも、ヴェルディファンを増やす様々な試みを行うなど、常に選手やチームを励まし、熱烈なサポーターの皆様と共に歩んで参りました。
それまで、数年間のヴェルディは、J2でも芳しい成績ではありませんでした。しかし、私共がスポンサードした2017、2018シーズンは、いずれもJ1昇格のプレーオフまで来ています。J2で18位や20位だった、それまでとは雲泥の差です。今や、チーム自体が上昇機運の最中なのです。サポーターの方からも、「ISPSとミスズと共に、ヴェルディをずっと応援していきたい。来年以降も、ぜひスポンサーをしてほしい」と、直接お声を頂き、3年目も是非支援しようと思っておりました。
スポンサーを降りざるを得ない事情
ところが先日、ヴェルディの羽生社長と葉梨氏がISPSを訪れ、スポンサーを降りてほしいと要請されたのです。
と言っても、羽生社長や葉梨氏が、ISPSに悪感情を持ってる訳ではありません。もめ事やトラブル、行き違いもありません。むしろ両氏は、ヴェルディについて共に語り、より良いチーム作りを夢見てきた、いわば同志のような存在です。
しかし実は、数ヶ月前に突然、羽生社長はゼビオの会長と社長から、ISPSがヴェルディのメインスポンサーであるのは困る、との旨を言われたそうです。
ご存知の通り、ゼビオホールディングスは、傘下にゼビオやヴィクトリア、ゴルフパートナーなど、子会社33社を擁する大企業です。合計売上は2300億を超え、ヴェルディの取締役にも、ゼビオホールディングスの副社長が入っています。特に2010年、ヴェルディの経営が危なかった時に、ゼビオがスポンサードした話はよく知られてます。その当時の報道によれば、1年で8000万円、5年間で4億円の契約だったとのことです。
しかし、ゼビオが「胸スポンサー」を務めたのは2010年終盤のみ、2011年〜2015年は「袖スポンサー」となり、2016年以降はこれもありません。にも関わらず、なぜ、今でもゼビオの会長・社長が、メインスポンサーを降ろせと言えるほど、強い発言権を持つのか不思議です。
真相を調べれば、以下の通りでした。2010年当時、ゼビオが年間8000万を拠出した際、ヴェルディの新株予約権51%分が、ゼビオに渡る契約を結んだのです。なるほど、それなら当然、ゼビオの支援の有無にかかわらず、ヴェルディはゼビオの意見を無視できないでしょう。
羽生社長も葉梨氏も、さぞ板挟みの苦しい立場だろうと、心が痛みました。それにしても、ヴェルディが一番困ってる時、相手の弱みにつけ込み、こんな条件をつきつけたゼビオに対し、ファンもサポーターも、他のスポンサーも憤りを覚えるでしょう。それを呑んだ羽生社長も、さぞ断腸の思いだったでしょう。しかし、それも、スポーツをビジネスとしか捉えない会社なら、普通にある事です。ゼビオは、こうして子会社を増やして行ったのでしょう。これも、ビジネス界では普通のことです。
それにしても、いよいよヴェルディがJ1に手が届くという時になって、メインスポンサーを降りてくれと言うのも、理不尽で、無礼で、残酷な話です。そこまで、ISPSやミスズが嫌なら、初年度に言ってほしかった。もっと言うなら、最初の契約時に言ってくれれば、はじめからスポンサーはしなかったのです。2年で4億2千万円の資金を拠出し、チームが上昇気流に乗ったところで、「スポンサーを降りろ」と言うのは、誰が聞いてもひどい話です。
なぜ、ゼビオの会長と社長がそう言い出したのか、羽生社長に伺いましたが、「どうしてもISPSの名前を出さないでほしい」というだけで、詳しい理由の言及はなかったそうです。
しかし、それでは2年で4億2千万円の資金を拠出し、地元にヴェルディファンを増やし、ヴェルディを熱心に応援してきたメインスポンサーを、明確な理由もなく降ろせと、ゼビオの会長と社長が命令したことになります。
より詳しく聞けば、「ISPSではなく、ミスズの名前に変えてくれ」と仰ったと、羽生社長から聞きました。これでは、2年間で4億2千万円拠出した実績と功績のあるメインスポンサーの、意向を全く無視し、ゼビオが理由もなく、別の会社をメインスポンサーにしろと命令してるのと同じです。こんな理不尽な要求を、呑めるはずがありません。聞けば、ミスズはテレビCMが流れているが、ISPSは流れていないからだそうですが、よく分からない話です。ISPSは、ゴルフのレギュラースポンサーになって、テレビ東京やBSフジ、BS11で何度もTVコマーシャルを流しました。最近は、メルボルンのゴルフワールドカップで、スポンサーのISPS HANDAの名前や、名前の入ったフラッグが、ゴルフネットワークで連日流れています。また、一般紙やスポーツ紙で連日報道されていました。
しかもISPSは、スポーツ振興を通じた社会貢献を掲げ、ジュニアや選手の育成に、どこよりも力を注いで来たヴェルディに敬意をもって支援してるのです。こういう、ポリシーを持ってヴェルディ支援に力を注いで来たのです。そのスポンサーに、名前を出すな、名前を変えろと仰るのは、さすがに「あまりにも失礼な話です」と申し上げました。
しかし、私達がスポンサーを降りなければ、羽生社長や葉梨氏も板挟みの苦しみが続きます。もし、新株予約権の51%が行使されれば、ヴェルディの経営母体が変わってしまう事も有るでしょう。ゼビオの会長や社長が、そうと明言しなくても、ことは羽生社長や葉梨氏の進退にも関わります。
何より、私共は「是非、ヴェルディのメインスポンサーをやらせてくれ」と、お願いした訳ではありません。前述の通り、羽生社長や葉梨氏がお困りで、是非にと何度も仰ったので、メインスポンサーを引き受け、やるからにはヴェルディのJ1優勝をめざし、全力を注ごうと力添えしただけの事です。
2年で4億2千万円も支援した挙げ句、感謝どころか、「ISPSの名前を下げてくれ」と言われるのは、全く納得できない話です。しかし、私共がスポンサーでいることを、ゼビオが気に入らないのに、そこを敢えて逆らったり、事を荒立てても、何の解決にもなりません。地位保全の裁判や、名誉毀損、業務妨害の損害賠償裁判を、10億円で起こす事もできますが、それで困るのは、羽生社長やヴェルディの職員、選手やサポーター、ファンの皆さん、他のスポンサーでしょう。そうなれば、せっかく盛り上がったチームの雰囲気も台無しです。
だから、法的措置は取りません。ただ、不本意ながらスポンサーを降りる本当の理由と、ゼビオの社会通念上の良識や礼節のなさ、それに対する我々の怒りは、文書で表明し、ヴェルディの選手やサポーター、他のスポンサーに対し、説明する責任を感じるものです。
終わりに(スポンサーを降りるに当たって)
このような次第で、ISPSとミスズは、今季限りでヴェルディのスポンサーから身を引かせて頂きます。
せっかく仲良くなり、共にスタジアムで声を涸らして応援した、サポーターやファンの皆様には、道半ばで離れざるを得ない事を、大変残念に思っております。決して私共が、ヴェルディを嫌になってスポンサーを降りる訳ではないこと、我々の意思によるものではないことを、どうぞご理解下さい。
また、羽生社長や葉梨氏は、本当に私共に良くして下さいましたし、ヴェルディの事を誰よりも熱く思ってる方です。J1に上がれば、スポンサー費を2倍にする約束もしてました。だから、この件で、彼らが責められるような事は、私共は全く望んでおりません。その事もどうぞ、サポーターの皆様にはご理解頂きたいと存じます。
私共がスポンサーを離れても、我々以上に手厚く、ゼビオや傘下企業がその発言や決定の責任をとり、スポンサーして下さることと信じます。それでこそ、サポーターの皆様も安心される事でしょう。ゼビオには、強いリーダーシップ、豊富な資金力、発信力があります。私共の愛したヴェルディを、是非、末永く支援して頂き、いつかヴェルディをJ1優勝に押し上げて下さることを、心から願っております。
以上
平成30年11月29日